2016年9月29日木曜日

教皇 Francesco はメキシコの同性婚法制化に反対したのか?

9月25日,正午の Angelus の際,教皇 Francesco は,1945年3月に Dachau 強制収容所で殉教した Engelmar Unzeitig 神父の列福を告知し,世界聾者の日を祝福し,カテキストたちの労をねぎらいました.
 
加えて,同性婚の全国的な法制化について社会対立が続き,かつ,麻薬犯罪組織による殺人事件の絶えないメキシコに関して,こう述べました:
 
「家族と生命のために教会と市民社会が積極的に活動するのを支持することにおいて,わたしは,メキシコの司教たちと喜んで連帯します.家族と生命は,今の時代,世界中で特別な司牧的ならびに文化的な注意を要請しています.またさらに,最近幾人かの司祭の命をも奪った暴力がやむよう,親愛なるメキシコ国民のために祈ることを確言します.」
 
教皇がこのように述べたことの背景には,メキシコのふたつのまったく別々の事情があります.ひとつは,麻薬犯罪組織が頻繁に人々を拉致し,殺害している,という事態です.犠牲者のなかには,現メキシコ大統領が就任した2012年からだけ数えても,14人のカトリック司祭が含まれています.この一週間でも,三人の司祭が誘拐され,殺害されました.
 
もうひとつは,同性婚をめぐる社会対立です.メキシコでは32の州のうち11州で同性婚が既に法制化されています.大統領は全国的な同性婚法制化を目指していますが,それをめぐってこの数ヶ月間,賛成派と反対派の双方が大規模なデモを繰り返しています.この対立のせいで,homophobia にもとづく殺人事件まで起きています.
 
メキシコのカトリック司教会議が同性婚法制化反対を表明しているなかで,教皇の「メキシコの司教たちと連帯する」という言葉は,LGBT activists からは,教皇が同性婚反対の意を表明した,と解釈され,非難を浴びています.
 
確かに,そう解釈されてもしかたありません.しかし,教皇の真意は,同性婚をめぐる社会対立のなかで憎悪による殺人までが起きていることを憂え,事態がすみやかに収拾されるよう祈ることにあるのではないでしょうか?