昨日,2016年10月04日,LGBT カトリック ジャパン の共同代表,ルカ小笠原晋也とペトロ宮野亨は,小宇佐敬二神父様にお会いして,発足後一年間の活動をふりかえり,今後の活動について相談しました.
我々が LGBT カトリック ジャパン の活動を始めたきっかけは,Facebook に開設されている幾つかのキリスト教関係グループのなかの憎悪言説に驚かされたことです.カトリックのグループも,プロテスタントのグループも,双方が混ざっているグループも種々ありますが,おしなべてそれらのグループでは LGBT に対する誤解と偏見と憎悪に満ちた投稿が常に頻繁に見うけられました.
我々は,カトリック信徒として,普遍的な神の愛にもとづき,誤解や偏見に対しては,現在の医学的,心理学的常識による説明をし,憎悪に対してはその根拠の非正当性を指摘しました.しかし,そのようなことを幾度くりかえしても,LGBT に対する憎悪言説はやみませんでした.
そこで,Facebook のような限られた世界で LGBT 擁護を試み続けても無駄であると判断し,我々は,カトリック信徒として,我々に可能な限りでもっと現実的に有効な社会活動を LGBTIQ+ の人々のために始めることにしました.それが LGBT カトリック ジャパン です.
昨年夏の発足にあたり,ルカ小笠原晋也が信徒として所属するカトリック本郷教会でときどき主日の御ミサを立ててくださっていた「東京カリタスの家」常任理事,小宇佐敬二神父様に相談にのっていただきました.本郷教会は,信徒会館内の部屋を「東京カリタスの家」の放課後デイサービス「カリタス翼」に提供しています.
また,東京大司教区の補佐司教である幸田和生司教様にも我々の活動の趣旨を御説明し,賛同していただきました.
まずは Facebook と Blog での言論活動から始めました.
5月 8日には Tokyo Rainbow Pride 2016 に参加し,パレードに加わり,出店も出しました.その際,既に長年 LGBT のためにプロテスタント司牧活動をしている三・一教会の平良愛香牧師さんと新宿コミュニティ教会の中村吉基牧師さんを始め,幾人もの LGBTIQ+ の人々と出会うことができました.
7月からは,ペトロ宮野亨がカトリック教会内に持つ広い人間関係をたどって出会うことのできた LGBT friendly な神父様たち,小教区教会,修道院などの御協力のもとに,都内で LGBT 特別ミサが始められました.仲間内の秘密会合ではなく,社会に開かれた LGBT カトリック司牧の可能性の端緒として,日本のキリスト教の歴史のなかで初めての試みです.今後も月に一回,継続して行く予定です.
9月には,LGBT とカトリック教義に関してこの一年間に学んだことのまとめとして,「LGBT とカトリック教義」を発表しました.世界のカトリック教会の一部でいまだに続く LGBT 差別の動きをカトリック信者として批判する際に参考にしていただけると思います.
昨日,小宇佐敬二神父様は,我々のお願いに応じて,LGBT カトリック ジャパン の指導司祭となることをお引き受けくださいました.2017年01月からは,原則的に毎月第三日曜日,14時から,小宇佐神父様の司式により LGBT 特別ミサを立てていただくことになりました.
また,小宇佐神父様は,LGBT カトリック ジャパン の日本語正式名称を「LGBT カトリック信者の集い」とするよう助言してくださいました.
したがって,「LGBT カトリック ジャパン」は通称としてのみ用い続けることにします.また,英語の名称は LGBT Catholic Japan, 略称は LGBTCJ とします.
また,小宇佐神父様は,幾つかの自助グループにかかわった御経験にもとづき,ミサ後の分かち合いの集いのやり方をもっと工夫するよう助言してくださいました.今後,参加者の方々と相談しながら考えて行きたいと思います.
歴史的にキリスト教は,聖書の文言の一部にもとづき,同性愛を断罪してきました.しかし,「LGBT とカトリック教義」で指摘したように,改めて仔細に検討するなら,そのような聖書解釈は無根拠であることがわかります.
世界では,法のもとでの平等の理念にもとづき,同性婚を法制化する国々がふえて行きつつあります.
カトリック教会でも,その頂点である教皇 Francesco は,全包容的な神の愛にもとづき,LGBT 司牧に積極的な姿勢を打ち出しています.つい先日,10月02日にも,記者会見のなかで教皇は,「カトリック教会は LGBT の人々に寄り添うべきです.イェス様なら今,当然,そうしているでしょう」と述べました.
日本でも,2020年に東京オリンピックを控えて,LGBT 差別を禁止するオリンピック憲章を尊重すべく,LGBT 差別禁止法案が国会で討論されようとしています.また,幾人かの LGBT 人権活動家の努力によって,LGBT への関心は一般の人々のなかでも高まりつつあります.
しかし,日本のカトリック教会のなかではいまだに司祭や信徒の大多数は LGBT について無関心であるように見うけられます.
1979年にノーベル平和賞を受賞したコルカタの聖テレサは,1986年のノーベル平和賞受賞者 Elie Wiesel の言葉を好んで引用しました:「愛の反対は憎しみではなく,無関心です」.
LGBT カトリック信者の集い(LGBT カトリック ジャパン)が日本のカトリック教会のなかの LGBT に対する無関心を解消して行くことに少しでも貢献することができるよう,共にお祈りください.
ルカ小笠原晋也