アメリカの小児科の学会誌に昨日付で発表されたその研究においては,アメリカ合衆国の1999年から2015年までの Youth Risk Behavior Surveillance System(若者の危険行動の監視システム)の統計にもとづき,同性婚法制化が若者の自殺未遂ケースの数にどう影響したかが統計学的に分析されました.
周知のとおり,全米で同性婚が認められたのは,2015年6月26日に連邦最高裁が「同性婚を禁止する州法は合衆国憲法に違反している」と判断したことによってです.それまでは,同性婚を認める州と認めない州とが合衆国のなかで混在していました.同性婚が domestic partnership の形で最初に認められたのは,1992年,Washington DC においてでした.同性婚が異性婚と同等の婚姻として初めて法制化されたのは,2009年,Vermont 州においてでした.
論文のなかで表に示されているように,調査対象となった全学生の自殺未遂率は,同性婚法制化前は 8.6 % であったのに対し,同性婚法制化後は 8.0 % へ有意に低下しました.sexual minority の学生に関しては,自殺未遂率は 28.5 % から 24.5 % へ有意に低下しました.
人間の命の尊重を教えるカトリック教会が同性婚を認めないことによって若者の自殺の減少を妨げているのだとすれば,どうでしょうか?2018年の若者を主題とするシノドスに向けて,すべてのカトリック信者に真剣に受けとめていただきたい事実です.
ルカ小笠原晋也