2017-11-27

共同祈願,2017年11月26日,LGBT 特別ミサにて

 
天使にともなわれて王座に就いたキリスト
Basilica di Sant'Apollinare Nuovo (Ravenna) の聖堂内部のモザイク壁画,6世紀

2017年11月26日の LGBT 特別ミサにおける共同祈願

今月02日は,亡くなった人々を記念する日でした.わたしたちのなかで,また,わたしたちの友人や知人のなかで,近しい存在を亡くした人々と,その亡くなった方々とのために祈りましょう.特に,LGBT 特別ミサに幾度か参加しているわたしたちの友人のひとりが,二週間ほど前にお父さんを亡くしました.彼と彼のお父さんのために祈りましょう.復活と命である主よ,わたしたちのもとからあなたのもとへ呼び寄せた人々に,永遠の安らぎを与えてください.絶えざる光でそれらの人々を照らしてください.そして,わたしたち,喪の悲しみに泣く者を,改めて「幸いなり」と言って,祝福してください.わたしたちが喪失の痛みに耐えることができるよう,あなたの優しい手でわたしたちの涙をぬぐい,わたしたちを慰めてください.

今月20日は,Transgender Day of Remembrance, トランスジェンダー追悼記念日でした.毎年,世界中で,数十人が transgender に対する憎悪によって暴力的に命を奪われている現実を前にして,祈りましょう.平和の主よ,hate crime によって命を落とした transgender の人々に,永遠の安らぎを与えてください.閉鎖的で差別的なうなじかたくななる者たちの心に巣喰う憎悪を,あなたの愛で消し去ってください.カトリック教会が,あらゆる LGBTQ+ の人々に平和と安心を与えることができるようになるよう,聖職者たちと信徒たちを導いてください.

新たに東京大司教区に任命されたタルチシオ菊地功大司教様と,病気療養中のヨハネ小宇佐敬二神父様のために祈りましょう.Societas Verbi Divini, 神言会,神の御言葉を伝えるために派遣された者たちの会の一員である菊池功大司教様は,アフリカのガーナにおける八年間の宣教経験にもとづき,東京大司教区でも missionary spirit を呼び起こしたい,とおっしゃっています.12月16日に,聖マリア・カテドラルで着座式の御ミサが行われます.小宇佐敬二神父様は,年内はペトロの家で療養に専念する予定です.恵み深い主よ,わたしたちに新たな大司教,タルチシオ菊地功をお遣わしくださったことに感謝します.彼と,彼を迎える東京大司教区を,祝福してください.多様性のなかの一致をモットーにする菊地功大司教が,わたしたち LGBTQ+ を始め,あらゆる少数者をカトリック教会へ積極的に歓迎するよう,すべてを包容するあなたの愛で彼を導いてください.また,日本で初めて LGBTQ+ の牧者となった小宇佐敬二神父を慈しみ深く見守り,彼の苦しみを優しく癒してください.

毎年12月01日は,World AIDS Day です.それに先立ち,今日までの三日間,中野で Tokyo AIDS Week の催しが行われています.世界中の HIV 感染者たちと,彼れらを支援する同胞たちのために祈りましょう.命の与え主である主よ,死の可能性に直面する者たちが,死から目をそむけるのではなく,その不安に耐えることができるよう,復活の約束によって彼れらを支えてください.その手伝いに,カトリック教会がより積極的にかかわるよう,導いてください.Tokyo AIDS Week に集う人々を,慈しみ深く祝福してください.

さまざまな事情で今日,わたしたちとともにこの御ミサに与ることができなかった同胞たちとその家族のために祈りましょう.主よ,あなたは,社会のなかで辺縁に追いやられた人々をひとりも見捨てません.誰ひとり排除せず,誰をも皆包容するあなたの愛の恵みを,今日来れなかった人々にも豊かに注いでください.また,今日ここに集う幸せを恵み与えられて感謝するわたしたちが,ひとりでも多くの同胞たちへ神の愛の福音を伝えて行くことができるよう,主よ,常にわたしたちとともにいてください.

2017-11-16

英国のカトリック教会における LGBTQ+ 司牧の歴史と現状



Vincent Nichols 枢機卿と Papa Francesco. Domus Sanctae Marthae の外にて
後ろの子どもたちは,Westminster Cathedral Choir School の合唱隊

先日,我々の友人 Terence Weldon が,英国(ここでは,北部アイルランドを除く Great Britain に限る)のカトリック教会の Middlesbrough 教区で LGBTQ+ のための司牧の新たな試みが始まることを,彼の blog 記事で報じていました.この機会に,英国でのキリスト教と LGBTQ+ との関係の歴史と現状を振り返ってみましょう.日本で,わたしたちにとっても,何か参考になるかもしれません.

周知のように,英国では Anglicanism がカトリックより優勢です.2009年の資料によれば,Great Britain の総人口約六千万人のうち,半数は無宗教,Church of England の信者は約 20 %, カトリック信者は 8.6 % です.

Anglicanism では,各管区の独立性が高く,LGBTQ に関する見解も一様ではありません.Church in Wales と Scottish Episcopal Church では,同性婚も,同性愛者の叙階も,公認されています.Church of England では,同性愛者の叙階は公認されていますが,「結婚は,ひとりの男とひとりの女との結婚である」という因襲的な規定のゆえに,同性婚の祝福は非公式にのみ認められています.(ちなみに,同性婚は,England と Wales では2013年07月に法制化され,2014年03月から施行されており,Scotland では2014年02月に法制化され,同年12月から施行されています.)

ついでながら,女性の叙階に関しては,Great Britain ではいづれの管区でも既に女性司教が活躍しています.

日本の聖公会でも女性司祭は既に活動しています.また,名古屋には transgender であることを come out している後藤香織牧師さんがいます.

さて,英国のカトリック教会における LGBTQ 司牧の試みについては,歴史的に Soho Masses と呼ばれていた活動が有名です.

Soho Masses logo


そのきっかけは,悲しいことに,或る Neo-Nazi による homophobic terrorism でした.1999年4月30日金曜日,London の Soho 地区で最も古い gay pub のひとつである The Admiral Duncan に仕掛けられた爆弾が爆発し,三人が死亡,約70名が負傷しました.

そのテロ事件の直後の日曜日から,LGBT community のために London 市内でカトリックのミサが行われ始めました.熱心な参加者たちによって Soho Masses Pastoral Council[ソーホーミサ司牧委員会]が創設され,2001年から2007年までは,Soho にある Saint Anne's Anglican Church の聖堂でミサが行われていました.

Soho Masses Pastoral Council は,Anglican Church に間借りしたミサに甘んずることなく,カトリック教会の公認を求めて,Westminster 大司教区の代表者たちと交渉を続けました.その結果,2007年02月,当時 Westminster 大司教であった Cormac Murphy-O'Connor 枢機卿は,Soho Masses Pastoral Council を教区の公式な教役活動として認め,Soho Masses が同年03月から Soho の Church of our Lady of the Assumption and Saint Gregory で行われることを許可しました.

勿論,保守派の反対はありました.しかし,Murphy-O'Connor 枢機卿は,「教会の使命は,すべての人に対して教役を果たすことに存する.(...) 教会は,同性愛の人々に対するあらゆる形態の不当な差別,暴力,いやがらせ,侮辱を,断固として断罪する」と述べ,LGBTQ community に対してより包容的な司牧姿勢を打ち出しました.それは,『カトリック教会のカテキズム』の 2357 段から 2358 段へアクセントを移すことによって LGBTQ community に対して教会の門を大きく開いた Papa Francesco の司牧姿勢の先取りです.

こうして,毎月二回,Church of our Lady of the Assumption で Soho Masses は祝われるようになりました.15人の司祭が輪番で司式に当たりました.毎回百人以上の参加者がありました.定期的には参加することのできなかった人々も含めると,Soho Masses に与ったことのある LGBTQ+ の数は約三百人であった,と言われています.

2013年,Church of our Lady of the Assumption は,英国教会からカトリックへ転会した人々の personal ordinariate のために使用されることになったため,その年の 3 月から Soho Masses の会場は,Soho 地区の西隣の Mayfair 地区にあるイエズス会の Church of the Immaculate Conception へ移転しました.より正確に言うと,その教会の主日ミサのうち,第二日曜日と第四日曜日の17時半に行われるものが,公式に LGBTQ+ とその家族や友人を歓迎するミサと銘打たれることになりました.Soho Masses Pastoral Council の名称も,LGBT Catholics Westminster に変更されました.

2015年05月10日には,Westminster 大司教 Vincent Nichols 枢機卿が LGBT ミサを司式しました.英国では,司教以上の高位聖職者が LGBT のためのミサを司式する初めての機会でした.

USA の LGBT カトリックの活動 New Ways Ministry の責任者のひとり Francis DeBernardo によると,USA では既に1990年代に司教が LGBT ミサの司式をしたことが二回あったそうです.また,直近では,2017年06月11日に,Newark 大司教 Joseph Tobin 枢機卿が LGBT 歓迎ミサを司式しました.

全英レベルの LGBT カトリック支援活動としては,早くも1973年に Quest が創設されています.現在,Quest London, Quest West Midlands, Quest East Midlands, Quest Southeast, Quest Glasgow, Quest in the North の六つの支部から成る組織に発展しています.

教区の公式な活動としては,England 中部の Nottingham 教区では,昨年10月と今年10月に LGBT のためのミサが祝われました.特に昨年は,Patrick McKinney 司教がみづから司式しました.また,この記事の冒頭でも触れたように,England 北東部の Middlesbrough 教区では,2017年12月10日に York 市内の Bar 修道院の聖堂で LGBT のためのミサが行われようとしています.Papa Francesco の全包容的な司牧姿勢に共鳴する Terry Drainey 司教の理解と,LGBTQ+ の人々のための司牧に積極的な Tony Lester 神父 O.Carm. の働きのおかげです.

教区の公式な活動としてではなく,非公式な形においては,英国内のほかの複数の場所で LGBTQ+ のカトリックのための教役活動やミサが行われています.

英国でも米国でも,LGBTQ+ のためのカトリック教役活動は,1970年代に始まっています.既に四十数年の歴史を有していることになります.

全英の活動の名称 Quest は,一般名詞としては「探し求めること」です.神を探し求め,主の愛を請うこと - 忍耐強く祈り続ければ,神は必ず応えてくださる,と Jesus の「裁判官と寡婦」の譬え (Lc 18,1-8) は示唆しています.

日本では,わたしたちの LGBTCJ は 2015年に創立され,LGBT 特別ミサは 2016年07月に開始されたばかりです.今後も忍耐強く活動を続けて行きましょう.

Soho Masses の初期,超保守的なカトリック信者 Mrs Daphne McLeod は,幾人かの仲間を引き連れて,ミサ会場の教会の外でロザリオの祈りを唱えました.それは,神の愛にもとづく「敬虔さ」と言うよりは,単にファリサイ精神にもとづくいやがらせにすぎませんでした.

似たようなことは,LGBTQ+ に関連することでなくても起こり得ます.10月28日,Bruxelles の Cathédrale Saints-Michel-et-Gudule で行われた宗教改革500周年記念行事を妨害するために,数人の若者たちが聖堂内の後ろの方でロザリオの祈りを唱えました.おそらく,ピオ X 世会に同調するような保守派のしわざでしょう.

Papa Francesco の先進的かつ包容的な司牧姿勢に対する保守派からの backlash の動きは,現に幾つか起きています.しかし,世界中の司教たちの大多数は,教皇を支持しています.

Papa Francesco は,同性婚を結婚の秘跡として認めるところにまでは踏み込まないものの,LGBTQ+ の人々を断罪することなくカトリック教会へ積極的に迎え入れるよう,再三促しています.そのことを,わたしたちは,例えばLGBT とカトリック教義」や「教皇 Francesco の生と性の神学」で詳しく伝えてきました.

今後,東京大司教区においても,LGBTQ+ の人々のためのわたしたちの教役活動が菊地功大司教様によって公認していただけますように!また,日本で東京以外のところでも同様の活動が広まって行きますように!

それは神の愛の福音の Spiritus にかなうことである,とわたしたちは確信しています.



最後に,上の動画は,New York City の Church of St. Paul the Apostle に所属する LGBTQ カトリック信者たちによって制作されたものです.彼れら自身の声を聴いてください. 

ルカ小笠原晋也

Thanks to Thomas, the secretary of Quest, who answered kindly to my questions about actual situations of Catholic ministry for LGBTQ people in Great Britain. 

Luke S. Ogasawara

2017-11-13

イム・ボラ牧師講演会:宗教改革500年と韓国教会の異端論争



韓国の長老派教会の牧師,イム・ボラ (Borah Lim) さんの講演会:宗教改革500年と韓国教会の異端論争」が,2017年11月12日の晩,日本基督教団信濃町教会で行われました.

イム牧師は,LGBTQ 人権擁護活動と,LGBTQ 関連の神学書(特に The Queer Bible Commentary)の翻訳のために,韓国の保守的な教派から「異端」として断罪されています.勇敢な彼女を,主がおおいに祝福してくださいますように!

会場で配布された資料によると:

毎年 9 月は,韓国のプロテスタント教会の総会が開かれる.(...) 今年の総会では,同性愛というテーマが大きな波紋を呼んだ.問題の発端は,sexual minority に対して牧会を行っている基督教長老会のイム・ボラ牧師について,他の長老会(合同,統合,高神,大神,合神),基督教大韓監理会 (Methodist), 基督教大韓聖潔教会 (Holiness), 基督教韓国浸礼会 (Baptist) など八つの教派が,彼女は「異端的思想」を持っている,と研究結果を発表したことである.そして,おもな長老教会の教派は,総会において,sexual minority に対して牧会を行っているイム牧師を「異端」と規定した.また,「同性愛者や同性愛擁護者に対する神学校入学不許可」,「同性愛を擁護して教える教職員は,懲戒措置としなければならない」,「同性愛者や同性愛支持者は,長老,執事,勧士などの教会役員になれない」ことを決議した.この決定をした教派に属する信徒は,約七百万人である.しかし,決議の翌日,韓国最大の長老派の神学校である長老会神学大学の総学生会と学内諸団体は,「教会は嫌悪の銃剣に対抗する最後の砦である」という声明文を発表し,総会決議に抗議した.彼らは,「ガラテヤの信徒への手紙」3 章 28 節を用いて訴えた:「もはや,ユダヤ人もギリシャ人もなく,奴隷も自由な身分の者もなく,男も女もありません.あなたがたは皆,キリスト・イェスにおいてひとつだからです」.(日本聖公会東京教区教区機関紙「コミュニオン」秋号より)

講演において,イム牧師は,まず,韓国におけるキリスト教会が直面している問題のひとつとして,若者の教会離れを指摘しました.

韓国では,総人口約五千万人の約 1 / 3 がキリスト教徒であり,プロテスタントとカトリックの比は約 3 : 2 である,と言われています.キリスト教徒人口が総人口の 1 % にも満たない日本の状況とは桁違いの規模です.

しかし,特にプロテスタント教会においては,過度な拡大政策や過剰に熱心な信徒獲得活動などのせいで,かえって若者たちは教会から離れて行っているそうです.

そこで,イム牧師は,Martin Luther の原理,sola gratia, sola fide, sola Scriptura を思い起こし,宗教改革の精神の原点に立ち返る必要性を指摘します.

(それは,あらゆるキリスト教会について妥当することです.カトリック教会においても,第 II Vatican 公会議において提起された「宗教改革」は,Papa Francesco のもとで,保守的な抵抗勢力に対抗しつつ,ますます推進されて行きつつあります.)

次いで,「異端」とは何か,とイム牧師は問います.

我々は,歴史上,根本的な三位一体の教義を否定する Arianism, 善悪二元論や精神と物質の二元論を取る gnosticism などを異端として知っています.また,教祖が自身を「救世主」と僭称する統一教会(現在の名称:世界平和統一家庭連合)は,韓国において異端のひとつの代表例です.

それに対して,神の愛による救済を求める人を,その人の SOGI が如何なるものであれ,祝福し,教会に迎え入れることは,何ら「異端」ではありません.

(実際,『カトリック教会のカテキズム』は,その 2358 段においてこう言っています : LGBTQ+ の人々は「敬意と共感と気遣いとを以て受け容れられねばならない」.そして,Papa Francesco もこう言っています:「もしここに同性愛の人がいて,誠意ある人であり,神を探し求めているなら,わたしは,その人を断罪する者では全然ない」.)

保守派プロテスタント教会は,自身の「正統性」と「正当性」を社会的に演出するために,イム牧師に「異端」のレッテルを貼って,彼女を scapegoat にしたてあげた,ということができるでしょう.

Luther の sola gratia, sola fide, sola Scriptura に立ち返るなら,もし仮に保守派が聖書のなかに「同性愛」断罪の律法を読み取るのだとしても(実際には,今我々が「同性愛」と呼んでいるものについて,聖書は何も言っていません),義とされるのは,律法の業(わざ)によってではなく,恵みと信仰によってのみである,ということを,保守派はまったく忘れてしまっているようです.

勿論,韓国のキリスト教会のなかには,イム牧師自身が所属する基督教長老会を始め,彼女を支持する人々もたくさんいます.

韓国の世論においては,やはり,世代が若いほど,LGBTQ+ に対してより親和的であり,同性婚についても賛成する者がより多くなる,という傾向があります.今の若い世代が社会で中心的な役割を担うようになれば,homophobia はより減少して行き,同性婚法制化の可能性も高まるでしょう.

最後に,イム牧師は,韓国各地の「クィア文化祭」の様子を写真や動画で紹介してくださいました.

わたしは,韓国での "queer" という語の使われ方に興味を持ち,そのことについてイム牧師に質問しました.

なぜ韓国では Pride Parade の行事をそう呼ぶようになったのか,正確な理由はわかりません.日本では LGBTQ+ に関する文脈において "queer" という語を「クィア」とカタカナ書きして用いることはほとんどないのに対して,韓国では,その語は,特に否定的な意味合いも無く,受け入れられているそうです.

"queer" は,元来は「へんな,おかしな」であり,LGBTQ+ に関して侮蔑的な意味合いで用いられていたこともあります.ですから,英語圏では,その語を嫌う LGBTQ+ の人々もいまだにいるようです.しかし,今は,より多くの場合,LGBTQ+ 自身が "queer" を逆手に取り,それによって,或る種の個性,独自性,創造性が主張されています.わたしは,ですから,その語が好きです.

今,日本社会においては,「LGBT も『普通』の人と変わらない」という "normalization" のメッセージがよく見受けられます.しかし,それは,下手をすると,日本会議イデオロギーのもとに自民党が主導する全体主義体制のなかに LGBT も取り込まれてしまう危険性を招きかねません.特に,LGBTQ+ のなかで社会的,経済的に比較的恵まれた状況にある gay はそうなりやすいのではないか,と危惧されます.

LGBTQ+ に対する社会的差別については,それを告発して行かねばなりません.しかし,"normalization" を求めるあまり,LGBT の一部が Donald Trump を支持する USA の状況と同様の事態が日本でも生じ得るとすれば,それは望ましいことではありません.

全体主義のイデオロギーのなかに浸りきった者たち以外の者は,誰しも queer です.そして,キリスト者は皆 queer であるはずです.なぜなら,主 Jesus Christ に従う者たちは「この世のものではない,わたしがこの世のものでないのと同様に」(Jn 17,16) と Jesus 自身が言っているからです.

支配者たちによって断罪され,十字架にかけられて処刑された Jesus Christ と同様に「この世のものではない」とすれば,我々は queer 以外の何でしょうか?キリスト教は,本質的に言って,queer spirituality である,とわたしは思います.

しめくくりに,イム牧師は,今年 7 月にソウルで行われた第18回クィア文化祭における「祝福の祈り」の様子を収めた動画を見せてくださいました:



The Queer Bible Commentary の韓国語訳は,イム牧師とともに十数人の翻訳者チームが二年をかけて既に完成させたそうです.その出版に先だって,Patrick Cheng の Radical Love邦訳)の韓国語訳が出版される予定だそうです.

韓国においても日本においても,あらゆるキリスト教会が,あらゆる社会的差別を解消するために活動し,そして,LGBTQ+ のためにより包容的となって行くことができますように.

ルカ小笠原晋也

Yokky, I was very happy to meet you there ! See you again soon !