2019年2月4日月曜日

菊地功東京大司教様に LGBTQ+ カトリック信仰共同体の声を届けましょう

菊地功大司教様と LGBTCJ 共同代表 小笠原晋也
2017年12月25日10時からの降誕祭ミサ後,東京カテドラルの敷地内にて
小笠原が手に持っている本は,大司教様の著書『真の喜びに出会った人々

菊地功 東京大司教様は,2019年01月の東京教区ニュースに掲載されている彼の新年の挨拶の文章のなかでもおっしゃっているように,彼の宣教司牧方針の策定のために信仰共同体からの意見を募集しています.

2018年05月20日付で発表された「多様性における一致を掲げて」のなかで列挙されている10の課題:

1 : 修道会の垣根を越えた、教区における司牧協力体制の充実
2 : 滞日外国人司牧の方向性の明確化と見直し
3 : 継続信仰養成の整備と充実
4 : 現行「宣教協力体」の評価と見直し
5 : カトリック諸施設と小教区・教区との連携
6 : イベントの豊かさだけではなく、霊的にも豊かな共同体の育成
7 : 信仰の多様性を反映した典礼の豊かさの充実
8 : 文化の多様性を尊重した典礼の豊かさの充実
9 : 教区全体の「愛の奉仕」の見直しと連携の強化
10 : 東日本大震災への取り組みに学ぶ将来の災害への備えの充実

に関して,「そのすべてでもかまいませんし,また一部でもよいのですが、それぞれの共同体の中で是非とも話し合っていただいて,意見を交わし、それを集約した上で、文書をもって,皆様の提言を私に御提出いただけませんでしょうか。ひとつでも多くの小教区共同体や修道院共同体からの御意見や御示唆をお待ち申し上げます。御提出いただく期限は、2019年の聖霊降臨(6月 9日)といたします」(2019年01月08日付東京教区ニュースより)とのことです.

2019年01月14日の「東京教区年始の集い」でお会いした際に,大司教様に直接確認したところ,LGBTCJ からも是非,意見を寄せて欲しい,とのことです.

というわけで,大司教様から与えられたこの宿題に答えたいと思います.特に「霊的に豊かな信仰共同体の育成」や「信仰の多様性を反映した典礼の豊かさの充実」の項目が,わたしたち LGBTQ+ カトリック信仰共同体と関連性が高いと思います.

意見交換や議論の手段についてですが,LGBTQ+ みんなのミサの後の分かち合いの集いは議論の場所としてはふさわしくないので,メーリングリストを利用したいと思います.

まず,意見交換や議論のためのメーリングリストを作成したいと思います.参加希望者は lgbtcj@gmail.com へ「リスト参加希望」と表記したメールをお送りください.登録の期限は特に定めません.

そして,御意見を lgbtcj@gmail.com へお送りください.

お送りくださった文面は,メールアドレスや個人名を伏せた形で,メーリングリスト参加者全員へ配信します.

その意見に関する御意見等も,lgbtcj@gmail.com へお寄せください.その文面も,同様に,メールアドレスや個人名を伏せた形で,メーリングリスト参加者全員へ配信します.

顔を見ながら意見交換する機会を持ちたいという御意見が多ければ,Skype での会議の機会を持つか,または,5月26日に予定されている LGBTQ+ みんなのミサの後に,分かち合いの集いとは別に,会合の時間を取りたいと思います.

意見書の文面は,皆さんの意見と議論にもとづいて,わたし(ルカ小笠原晋也)が作成し,5月末または 6月始めにメーリングリスト参加者全員へ配信します.そして,その文面に関する皆さんの意見にもとづいて,最終的な形に整えたいと思います.

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菊地功大司教様は,2019年01月21日付のブログで「シノダリティ」について書いていらっしゃいます.

「司教たちのシノドス」(Synodus Episcoporum) は,教皇のための助言組織として,1965年,聖パウロ VI 世教皇によって設立されました.菊地功大司教様がブログで言及している「シノドス」は,若者をテーマに,2018年10月に行われたものです.

「シノドス」という語はギリシャ語の σύνοδος に由来しており,その語は共に (σύν) 道 (ὁδός) を歩む」ことに由来しています.

ですから,教皇 Francesco が「シノダリティ」(synodality, sinodalità) を強調するとき,そこには,組織の頂点に位置する者の教条的な独断や独裁とは逆に,愛を以て司教や教皇が一般信徒と共に歩み,その声に耳を傾け,愛を以て司牧することが含意されています.菊地功大司教様も,この synodality の精神を確かに実践しようとなさっています.

ブログで菊地功大司教様が言及している 2018年10月28日の Angelus の際の話のなかで,教皇 Francesco は明らかに LGBTQ+ のことに言及しています.日本語訳は,イタリア語原文ではなく英訳を邦訳しているので,誤訳している部分があります.当該箇所をイタリア語で読み直してみましょう:

Con questo atteggiamento fondamentale di ascolto, abbiamo cercato di leggere la realtà, di cogliere i segni di questi nostri tempi. Un discernimento comunitario, fatto alla luce della Parola di Dio e dello Spirito Santo. Questo è uno dei doni più belli che il Signore fa alla Chiesa Cattolica, cioè quello di raccogliere voci e volti dalle realtà più varie e così poter tentare un’interpretazione che tenga conto della ricchezza e della complessità dei fenomeni, sempre alla luce del Vangelo. Così, in questi giorni, ci siamo confrontati su come camminare insieme attraverso tante sfide, quali il mondo digitale, il fenomeno delle migrazioni, il senso del corpo e della sessualità, il dramma delle guerre e della violenza. 
この「聴く」という基本的な態度を以て,わたしたちは,現実を読むこと — わたしたちの時代の徴を捉えること — に努めました.共同体的な分析が,神の御ことばと聖霊との光のもとに為されました.それは,主がカトリック教会に与えた最もすばらしい賜のひとつです:すなわち,非常に多様な現実から[さまざまな]声と顔を集め,そして,それによって,現象の豊かさと複雑さを考慮にいれた解釈を試み得る — 常に福音の光のもとに — という賜です.かくして,この26日間,わたしたちは,数多くの挑戦 — たとえば,情報化された世界,移民の現象,身体と性の意味,戦争と暴力のドラマ — を受けながら如何に共に歩むかについて,討議してきました.

この「身体と性の意味」(il senso del corpo e della sessualità) という表現は,明らかに LGBTQ+ のテーマを指しています.教皇が LGBT という語を用いなかったのは,シノドスを準備する段階の文書には LGBT という語が用いられていたのに,最終報告書からはその語は削除されてしまったからでしょう.

ともあれ,教皇 Francesco が LGBTQ+ の人々のことを気にかけているのは,周知のとおりです.

東京大司教区においても,LGBTQ+ カトリック信仰共同体の声を菊地功大司教様に届けましょう.

ルカ小笠原晋也