竹中勝美さんと高見三明長崎大司教様
カトリック聖職者による性的虐待の児童被害者として日本で唯一みづから名のり出た 竹中勝美 さんが実質的に主催した 会合 が,2019年04月07日,都内で行われました.竹中さん御自身に加えて,文藝春秋に記事を書いたジャーナリスト 広野真嗣 さんと,性的虐待の被害者の診療を多数行っている精神科医 白川美也子 さんが,発表を行いました.百人弱の参加者を集めました.カトリック信者も,たくさん来ていました.
驚くべきことに,そのなかには,高見三明長崎大司教様(日本カトリック司教協議会長)の姿がありました.彼は,竹中さんの招きに応えて,この会合に出席しました.
大司教様は,プログラムに予定されていた三人の発表の後に,即席で短いスピーチを行いました.彼は,御自身も参加した 2 月の Vatican sexual abuse summit での見聞について語り,社会中に蔓延する性的虐待の問題にカトリック教会が積極的に取り組んで行く決意を改めて述べるとともに,竹中勝美さんに対して直接,謝罪しました.
竹中勝美さんは,感きわまって,大司教のところに駆け寄り,ふたりは握手しました.
竹中勝美さんの肉声は,改めて,いかに性的虐待が被害者の生に深刻な傷を与えるかを,なまなましく証言してくれました.
日本のサレジオ会の誠意ある対応が待たれます.
******
以下,この件に関してわたしが以前にカトリック教会関係者に宛てたメールの文面を再録しておきます:
1) 2019年02月17日付メール:
文藝春秋2019年03月号の記事で,故 Thomas Manhard 神父 SDB (1914-1986) による性的虐待について,被害者,竹中勝美さん(当時9-10歳)による証言が取り上げられています.日本で被害者が名のりでた初のケースだと思います.是非,御一読ください.その記事と,関連記事は,以下のとおりです:
i) 文藝春秋2019年03月号の記事;
ii) 2018年04月26日付の朝日新聞「ひと」欄における竹中勝美さんの紹介記事;
iii) 竹中勝美さんが「エドワード」名義で公表している2001年06月19日付のサレジオ学園宛の書簡;
iv) 同じく「エドワード」名義で公表している竹中勝美さんの「想い出日記」.
彼の証言の真実性については疑う余地はないと思います.
文藝春秋の記事のなかでもうひとつびっくりさせられたのは「A 司教」のことです.カトリック信者なら誰でも,これが谷大二司教様のことであるとすぐにわかります.この疑惑に関しても,日本カトリック司教協議会の迅速な対応が待たれます.
もうひとつ初めて知ったのは,1959年に起きたある殺人事件について,故 Louis-Charles Vermeersch 神父 SDB (1920-2017) がその容疑者とされていたことです.彼は,1959年に離日した後,殺人事件の容疑に関してはまったく取り調べを受けることはなかったようです.
Vermeersch 神父のことはさておき,竹中勝美さんに関しては,加害者は既に死去しているとはいえ,今は,事件が起きた教区の司教または大司教が被害者の声を直接聴く,というのが,世界的には当然の対応になっています.例えば :
Catholic Primate meeting abuse survivors prior to Rome gathering
Only a listening church can address the sex abuse crisis
USA では,十分な根拠を以て加害者と疑われる司祭の名前が,故人も含めて,次々に公表されています.
今週,21日から Vatican sex abuse summit が始まるのに合わせて,聖職者の homosexuality に関する社会学者の調査が出版されます.それに関しては,わたしのブログ記事をお読みください.
2) 2019年02月20日付メール:
文藝春秋は,サレジオ学園における児童に対する性的虐待に関して,2019年02月19日付で続報を web に発表しました.そこには,記事を書いたジャーナリスト広野真嗣氏が東京サレジオ学園に2019年01月に送った質問状に対する東京サレジオ学園からの回答書(広野氏は02月15日にそれを受け取った)の内容が紹介されています.それによると,東京サレジオ学園は「事実を確認することはできなかった」と述べるにとどまっています.そして,最後に「司教協議会の指示に従います」と述べて,責任を司教協議会に丸投げするかのような態度を取っています.この件は,日本社会のなかでカトリックに対する印象をとても悪くする危険性をはらんでいます.
Thomas Manhard 神父 SDB は,わたしが Internet で確認することができた 資料 によると,1986年04月15日に享年71歳で死去しています.なお,彼はドイツ人ですので,彼の氏名のカタカナ表記は「トーマス・マンハルト」の方が適当です.記事中の写真(サレジオ学園の書簡)からは,生年は1914年であることが読み取れます.1955年から 6 年間,東京サレジオ学園の校長を務めていました.
被害者,竹中勝美さんが「エドワード」名義で公開している彼の 書簡 や 回想 にもとづいて精神医学的に判断するなら,彼が性的虐待を受けたことが真実であることには疑う余地はありません.サレジオ学園の「事実を確認することはできない」という釈明は,あまりにおそまつです.東京大司教区として,また,司教協議会として,この件に対して対応することが要請されていると思います.
谷大二司教様に関しても,彼の突然の埼玉教区司教辞任の理由について疑問をいまだに抱き続けているカトリック信者は少なくありません.疑問が疑惑としてわだかまることのないよう,この件に関する説明責任と透明性が日本カトリック司教協議会に求められていると思います.
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ルカ小笠原晋也
驚くべきことに,そのなかには,高見三明長崎大司教様(日本カトリック司教協議会長)の姿がありました.彼は,竹中さんの招きに応えて,この会合に出席しました.
大司教様は,プログラムに予定されていた三人の発表の後に,即席で短いスピーチを行いました.彼は,御自身も参加した 2 月の Vatican sexual abuse summit での見聞について語り,社会中に蔓延する性的虐待の問題にカトリック教会が積極的に取り組んで行く決意を改めて述べるとともに,竹中勝美さんに対して直接,謝罪しました.
竹中勝美さんは,感きわまって,大司教のところに駆け寄り,ふたりは握手しました.
竹中勝美さんの肉声は,改めて,いかに性的虐待が被害者の生に深刻な傷を与えるかを,なまなましく証言してくれました.
日本のサレジオ会の誠意ある対応が待たれます.
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以下,この件に関してわたしが以前にカトリック教会関係者に宛てたメールの文面を再録しておきます:
1) 2019年02月17日付メール:
文藝春秋2019年03月号の記事で,故 Thomas Manhard 神父 SDB (1914-1986) による性的虐待について,被害者,竹中勝美さん(当時9-10歳)による証言が取り上げられています.日本で被害者が名のりでた初のケースだと思います.是非,御一読ください.その記事と,関連記事は,以下のとおりです:
i) 文藝春秋2019年03月号の記事;
ii) 2018年04月26日付の朝日新聞「ひと」欄における竹中勝美さんの紹介記事;
iii) 竹中勝美さんが「エドワード」名義で公表している2001年06月19日付のサレジオ学園宛の書簡;
iv) 同じく「エドワード」名義で公表している竹中勝美さんの「想い出日記」.
彼の証言の真実性については疑う余地はないと思います.
文藝春秋の記事のなかでもうひとつびっくりさせられたのは「A 司教」のことです.カトリック信者なら誰でも,これが谷大二司教様のことであるとすぐにわかります.この疑惑に関しても,日本カトリック司教協議会の迅速な対応が待たれます.
もうひとつ初めて知ったのは,1959年に起きたある殺人事件について,故 Louis-Charles Vermeersch 神父 SDB (1920-2017) がその容疑者とされていたことです.彼は,1959年に離日した後,殺人事件の容疑に関してはまったく取り調べを受けることはなかったようです.
Vermeersch 神父のことはさておき,竹中勝美さんに関しては,加害者は既に死去しているとはいえ,今は,事件が起きた教区の司教または大司教が被害者の声を直接聴く,というのが,世界的には当然の対応になっています.例えば :
Catholic Primate meeting abuse survivors prior to Rome gathering
Only a listening church can address the sex abuse crisis
USA では,十分な根拠を以て加害者と疑われる司祭の名前が,故人も含めて,次々に公表されています.
今週,21日から Vatican sex abuse summit が始まるのに合わせて,聖職者の homosexuality に関する社会学者の調査が出版されます.それに関しては,わたしのブログ記事をお読みください.
2) 2019年02月20日付メール:
文藝春秋は,サレジオ学園における児童に対する性的虐待に関して,2019年02月19日付で続報を web に発表しました.そこには,記事を書いたジャーナリスト広野真嗣氏が東京サレジオ学園に2019年01月に送った質問状に対する東京サレジオ学園からの回答書(広野氏は02月15日にそれを受け取った)の内容が紹介されています.それによると,東京サレジオ学園は「事実を確認することはできなかった」と述べるにとどまっています.そして,最後に「司教協議会の指示に従います」と述べて,責任を司教協議会に丸投げするかのような態度を取っています.この件は,日本社会のなかでカトリックに対する印象をとても悪くする危険性をはらんでいます.
Thomas Manhard 神父 SDB は,わたしが Internet で確認することができた 資料 によると,1986年04月15日に享年71歳で死去しています.なお,彼はドイツ人ですので,彼の氏名のカタカナ表記は「トーマス・マンハルト」の方が適当です.記事中の写真(サレジオ学園の書簡)からは,生年は1914年であることが読み取れます.1955年から 6 年間,東京サレジオ学園の校長を務めていました.
被害者,竹中勝美さんが「エドワード」名義で公開している彼の 書簡 や 回想 にもとづいて精神医学的に判断するなら,彼が性的虐待を受けたことが真実であることには疑う余地はありません.サレジオ学園の「事実を確認することはできない」という釈明は,あまりにおそまつです.東京大司教区として,また,司教協議会として,この件に対して対応することが要請されていると思います.
谷大二司教様に関しても,彼の突然の埼玉教区司教辞任の理由について疑問をいまだに抱き続けているカトリック信者は少なくありません.疑問が疑惑としてわだかまることのないよう,この件に関する説明責任と透明性が日本カトリック司教協議会に求められていると思います.
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ルカ小笠原晋也