Le Christ à cheval de la voûte de la crypte de la Cathédrale Saint-Étienne d'Auxerre
Padre Saturnino Ochoa の ミサ説教,LGBTQ みんなのミサ,2023-11-19, 年間 第 33 主日(A 年)
第 1 朗読 : Pr 31,10-13.19-20.30-31第 2 朗読 : 1 Th 5,01-06福音朗読 : Mt 25,14-30
今日の福音朗読は「タラントンの譬え」です.典礼暦の一年の終りに,わたしたちは 神さまから 評価されます — 神さまから さまざまな「タラントン」をいただいた者として.
日本語で「タレント」と言われるものは,英語の talent から来ています;そして,その英語の talent は,この聖書の箇所の τάλαντον — 複数形は τάλαντα — から来ています.日本語では もっぱら テレビに出ている「タレント」のことですが,英語の talent は「特別な才能や素質」のことです.そして,古代ギリシャ語では — 特に ホメロスでは — τάλαντον は 金塊の重さの単位(約 25 kg)であり,また,貨幣の単位です —「聖書と典礼」の脚注に こう記されているように:
1 タラントンは 6,000 デナリア.1 デナリオンは 労働者の一日の賃金.したがって,1 タラントン(= 6,000 デナリア)は 約 20 年分の 賃金に 相当する.
ですから,この譬えのしもべたちは,預かった金額が 5 タランタにせよ,2 タランタにせよ,1 タラントンにせよ,三人とも 大金持ちです.タラントンを才能と読みかえるなら,大変な才能の持ちぬしです.
さて,この譬えを もっと展開してみましょう.しもべが もうひとり いるとする;そして,彼は 10 タランタを 主人から 預かったとする.そこで,彼は,まず,1 タラントンを 穀物市場で 活用しようとする;彼は「ヨーロッパの穀倉地帯」と呼ばれる ウクライナで その年に収穫されるはずの小麦の先物取引に 1 タラントン 投資する.ところが,戦争が始まったので,収穫はゼロになり,彼は 投資した 1 タラントンを 失う.次に,彼は,ファミリーレストランの経営を始める;彼は 客がたくさん来るだろうと期待する;ところが,パンデミックのせいで,客は誰も来なくなってしまう;そして,彼の投資は 無駄になってしまう.その後も 彼は いろいろなビジネスを試みるが,すべて 失敗し,主人から預かった金を 全部 失ってしまう.
そして,そのとき 主人が帰ってくる.彼は 何と言うでしょうか ? 彼は,5 タランタを活用したしもべにも 2 タランタを活用したしもべにも こう言います:「よくやった;おまえは 忠実な 良い しもべだ;おまえは 少しのものに忠実であったから,多くのものを管理させよう;主人といっしょに喜んでくれ」.
では,10 タランタを預かり,懸命に努力したが,ビジネスの失敗により,そのすべてを失ってしまった しもべには ? 同じです.5 タランタ あるいは 2 タランタを活用したしもべたちに対して言ったのと同じことを 主人は すべてを失ったしもべにも 言います:「よくやった;おまえは 忠実な 良い しもべだ;おまえは 少しのものに忠実であったから,多くのものを管理させよう;主人といっしょに喜んでくれ」.
そのように,この譬えのポイントは,預けられた金額の大きさではないのです.そうではなく,このことです:わたしたちは,神さまからいただいたものを,どう受けとめて,それを用いて 神さまのために どう働くか.成功するかどうかは 問題ではないのです.だいじなのは,神さまのために忠実に働くことです.
わたしたちは,わたしたちの日常生活のなかで,神さまからいただいたものを それとして 認識し,そして,それを宝と思って 神さまの意志に忠実に 働きましょう.そうすれば,評価のとき — 最後の審判のとき — 神さまは「よくやった;おまえは 忠実なしもべだ」と ほめてくれるでしょう.そのとき,主とともに 喜びましょう.