2018年9月24日月曜日

ひとりの lesbian girl の自殺が教会を変えた



BBC で今晩(2018年09月24日)放送される予定のドキュメンタリー番組で,ある lesbian girl の自殺が教会を変えたことが取り上げられるそうです.その番組は : Didsbury church's radical change after gay girl's suicide. 残念ながら,Internet 経由で日本で視聴することはできません.そのかわり,地元の新聞の記事でその内容が紹介されているのを読むことができます.

Manchester の郊外,Didsbury にある St James 教会(英国教会,Church of England)の信徒である Kevin and Hilary Lowe 夫妻の娘,Elizabeth(愛称 Lizzie)は,四年前,14歳のときに自殺しました ‒ 彼女が lesbian であることを両親も教会も受け入れてくれないだろう,と思い悩んで.

彼女は,生前,自身の sexuality について両親に何も打ち明けていませんでした.今,両親は,もし仮に彼女が come out していたなら,愛情深く彼女を受け入れていただろう,と言っていますが,彼女は homosexuality に関する両親の考えを知る機会がなかったのでしょう

また,英国教会は,伝統的には,カトリック教会と同様,同性カップルの性行為を罪深いものと見なし,同性カップルの結婚もいまだに認めていません(civil union は認めていますが).既に2003年に gay であることを公にしている司祭が司教に任命されたことがあります ‒ 多分,Lizzie はそのことを知らなかったでしょう ‒ が,教会内では homosexuality に関する論争はいまだに続いています.

Lizzie の自殺は,彼女の両親と St James 教会のメンバーたちに,このことを教えました : lesbian や gay であることを理由に断罪されたり,排除されたりすることは決してない,ということを明確なメッセージとして発しない限り,同様の悲劇を防ぐことはできない.

St James 教会では,従来,homosexuality について教会のなかで論ずることは,スズメバチの巣をつつくようなものだ,と見なされてきました.英国教会全体においても,カトリック教会においても,信者の多くはいまだにそう思っているでしょう.(日本では,homosexuality どころか,そもそも sexuality にかかわることを学校教育のなかで取り上げることは「寝た子を起こす」ことになると考える蒙昧な人々が少なくないようです.)

しかし,それでは,性の問題で,あるいは,SOGI(性的指向と性同一性)に関することで,悩む子どもたちに手を差し伸べることはできません.学校で SOGI に関することを理由にしていじめられ,自殺してしまうケースは,同性婚が法制化されている USA においてさえ,いまだに起きています.

Lizzie の死をきっかけにして,St James 教会を含む教区は,英国教会のなかで最初に,homosexual の人々に対する包容のメッセージを積極的に発することになりました.

日本においても,神から与えられた命を大切にするキリスト教徒たちは,教会内での同様の悲劇を待つことなく(日本社会全体のなかでは,多数,起きていることなのですから),LGBTQ+ の人々へ積極的に発信することが望ましいと思います:あなたたちは,神に愛されている;神の愛は,誰をも排除せず,あらゆる人を包容する;教会は,SOGI を理由にしてあなたたちを断罪したり,排除したりすることは決してない.

ただ単に,『カテキズム』のなかに「受け入れます」と書かれてあると言っているだけでは,不十分です.もっと明瞭に,もっと積極的に,包容の姿勢を示してゆく必要があります.

ルカ小笠原晋也