2016年10月13日木曜日

日本会議の政治家に LGBT 差別禁止や同性婚の法制化を期待しても無駄です

朝日新聞 2016年10月13日付朝刊の「わたしの視点」欄に,EU 日本政府代表部公使参事官,小沼士郎氏は,こう書いています:


東京都から LGBT 差別解消を
東京都渋谷区と世田谷区が同性カップルを夫婦と同じような関係の「パートナー」と認める制度を始めて,間もなく一年になる.追随する自治体も少しだが増え,国政レベルでは性的少数者 (LGBT) への差別解消を目指す超党派の議員連盟が設立された.LGBT が直面する課題に日本が欧米のように本格的に取り組むチャンスが到来した.
米大統領選挙の民主党候補,Hillary Clinton 氏が国務長官時代に LGBT の権利を守る国連初の決議採択を主導し,LGBT は世界人権宣言採択から60年余りを経ても十分な取り組みがなされていない分野だと指摘し,決意を明らかにしたのは,2011年だった.
私は,医師免許を持つ外交官として国連エボラ緊急対応ミッション (UNMEER) に派遣されるなど,医療分野の国際協力に携わってきた.アフリカでは,英国の植民地統治の影響もあり,同性愛は自然に反するとして刑罰を科す法律(ソドミー法)がある国が少なくない.
国連によると,サハラ砂漠以南のアフリカでは AIDS で年間約80万人が死亡し,新規 HIV 感染者の約 5 % が同性愛者だ.しかし,処罰対象の同性愛者に対しては偏見が根強く,政府の予防策は不十分だ.だが,ガーナのマハマ大統領は,同性愛を差別する社会を変えると国際会議で宣言した.2年前に傍聴した私は,感銘を受けた.
米国の多くの州の法律も,LGBT の権利を阻害する価値観に基づく.しかし昨年,米連邦最高裁は,同性婚を認めない各州の法律は憲法に合致しないとの判決を出した.
日本国憲法24条も「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」とし,同性婚を認めない.人は等しく生まれ,平等な権利を持ち,これを保障するのが憲法だ.多様性を認めあう社会をつくるため,憲法24条の改正もいずれ国民的議論の対象とすべきだろう.だが,まずは自治体レベルの動きを加速し,LGBT への理解を深め,一歩一歩解決することから始めたらどうだろうか. 
そんななか,小池百合子氏が女性初の東京都知事に就いた.2020年に東京で行われる五輪大会は,性的指向を含め多様性を認め合うことを基本理念に掲げる.理念をかけ声に終わらせないよう,小池氏は,同性パートナーが直面する差別の解消に真正面から取り組もうとする渋谷区や世田谷区の試みを,東京都全域に広げることを都民に提案してはどうだろうか. 
日本では,性に関わることを公に語るのは気恥ずかしいという文化を背景に,多くの政治家が沈黙してきた.清新なリーダーの小池氏は,東京から日本を変えてほしい.

何と!「小池百合子氏は清新なリーダー」! 御冗談を!

小池百合子氏にせよ,稲田朋美氏にせよ,家父長主義を是とする日本会議のメンバーに性的少数者の人権の問題について何かを期待するのは,無いものねだりにすぎません.

そもそも,自民党は「人権」も「主権在民」もないがしろにしようとしています.性的少数者のみならず,民族的,宗教的,政治的なあらゆる少数者と,心身のハンディキャップを有する人々を,社会の辺縁へ追いやって,全体主義的国家体制を復活させようとしています.

政治家が人気取りのために見せるうわべにごまかされてはなりません.日本会議と自民党の真意は明確に anti-LGBT です.

日本社会の均質性を打ち壊し,多様性を実現するための第一歩は,少数者がみづから声を上げることに存します.

また,憲法24条に関しては,憲法は国家権力を制限するものであって,国民の権利を制限するものではありません.したがって,憲法24条にもとづいて同性婚を拒むことはできません.同性婚法制化のために改憲の必要性を持ち出す議論は,誤っています.だまされてはなりません.

ルカ小笠原晋也